静岡県環境衛生科学研究所
No.128
商品テスト情報
―かんきつ類の果実飲料―
色の濃い食品に多く含まれるカロテノイドは、抗酸化作用や発ガン抑制作用が期待されている機能性成分で、β
-
カロテン(にんじん等)やリコピン(トマト、パプリカ等)が良く知られています。
一方、静岡県の特産である温州みかん(以下、みかんとする)にも、カロテノイドの一種のβ
-
クリプトキサンチンが多く含まれていますが、β
-
カロテンやリコピンと比べ、あまり知られていません。そこで、かんきつ類の果実飲料(以下、果実飲料とする)に含まれるβ
-
クリプトキサンチン等の抗酸化作用のある成分について調べてみました。
=== テストしたのは… ===
市販されていた果実飲料
12
銘柄(
表
1
)について調べました。
● 果実飲料に含まれるβ
-
クリプトキサンチンは?
果実飲料のβ
-
クリプトキサンチン含有量は、果汁の割合や果実の種類によって、異なるのでしょうか?果実飲料
100g
当たりの含有量を比べてみました(
図1
)。
みかんジュースは、銘柄間で含有量に大きな差がありましたが、
5
銘柄の平均は
0.77mg/100g
で、他の果実飲料と比較してβ
-
クリプトキサンチンが多く含まれていました。原材料表示等からみかん果汁の割合が多いと推定された果実飲料ほど、βクリプトキサンチンが多いことがわかりました。また、みかん果汁を使用していない果実飲料(
No.11
、
12
)や使用量の少ない果実飲料(
No.10
)ではβ
-
クリプトキサンチンは検出されませんでした。しかし、みかん果粒が使用されている果実飲料(
No.9
)は、よりみかん果汁が多いと思われる
70%
みかん果汁入り飲料よりも、β
-
クリプトキサンチンが多く含まれていました。
● 果実飲料に含まれるビタミンCは?
果実飲料の種類によって、含まれるビタミンCの量は異なるのでしょうか?
みかんジュースやみかん果汁入り飲料は、オレンジを主原材料とした果実飲料(
No.11
、
8
)やビタミンCを添加した果実飲料(
No.7
、
9
、
10
、
12
)に比べ、ビタミンCが少ないことがわかりました(
図2
)。しかし、みかんジュースコップ
1
杯で、推定平均必要量(
100mg/
日)の約
5
分の
1
のビタミンCが摂取できることがわかりました。
● 保存方法によって、機能性成分の量は変わるでしょうか?
PETボトル、紙パック(裏面はアルミ)、スチール缶の果実飲料を、日向または室温暗所で
50
日間保存し、冷蔵庫保存と比較しました。
保存容器や場所による、β
-
クリプトキサンチンの含有量(
図3
)には、差はありませんでした。
一方、ビタミンC含有量(
図4
)は、PETボトルや紙パックの果実飲料では、冷蔵庫保存よりも少なくなりました。これらの容器に充填された果実飲料は、冷蔵庫で保存し、早めに飲むほうがよいでしょう。また、買い置きは避けましょう。
■□■ まとめ □■
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