商品テスト情報−野菜や果物に含まれる栄養成分カロテノイド類− β(ベータ)-カロチンやリコピンなどの名前は聞いたことがあると思います。これらはカロテノイドの一種です。カロテノイドは野菜や果物に含まれ、黄色や赤、オレンジなどの色をもっています。食品中には数十種類のカロテノイドが含まれているといわれていますが、その中でも、β-カロチンは体の中でビタミンAとなる重要な栄養成分とされています。それ以外のカロテノイドについては、最近になって抗酸化作用や抗がん作用といった人体に有益な様々な働きがあることがわかってきました。そこで、これらを多く含むという栄養補助食品や飲み物についてカロテノイドのβ-カロチン、α(アルファ)-カロチンとリコピンがどれくらい含まれているか調べてみました。
いろいろなカロテノイド
その他 キャベツやあんずなどに含まれるルテイン、パパイアなどに含まれるゼアキサンチンにも人体に有益な生理活性があるといわれています。 表1 市販の栄養補助食品や飲み物のテスト結果
※栄養補助食品類(bP〜14)は商品の表示から計算し、菓子、清涼飲料水(15〜17)は1箱もしくは1本の量、ジュース類(18〜22)(1本200ml入り)は200gとしました。 ☆ 含有量の多いものは? 100gあたりの量で比較すると、ソフトカプセルタイプ(No10〜14)の商品に多くのカロテノイドが含まれていました。 ☆ 野菜加工商品類 No2,4,5には100gあたり24mgから61mgと比較的多くのβ-カロチンが入っていましたが、表示から、β-カロチンが添加されていることがわかりました。 ☆ 1日に食べる量では? 1日に食べる量で比較すると、ソフトカプセルのものや、にんじんやトマトを主原料とした野菜ジュース類がカロテノイドの補給源になることがわかりました。 (食べる量に幅があるものは中間値を用いてグラフにしました。)
☆ 保存性は? カロテノイドは比較的分解しやすい物質です。No1,2,4,5,10,11,12について、約4ヶ月室温で保管してもう一度調べて見ました。その結果、β-カロチンとα-カロチンはあまり減っていませんでしたが、リコピンは調べた食品すべてで減っていたり、中にはなくなっていたものもありました。購入後は早めに食べるようにしましょう。 ☆ 表示は信用できるでしょうか? β-カロチンの表示は栄養補助食品類(No1〜14)中9検体、菓子、清涼飲料水、ジュース(No15〜22)中8検体、あわせて17検体にありました。表示よりかなり少ないものが3検体ありましたが、あとの14検体は、表示の75%以上ありました。α-カロテンは4検体に表示があり、そのうち3検体はほぼ正確でした。リコピンは8検体に表示があり、そのうち5検体はほぼ正確でした。分解しやすい物質であることを考慮すれば,表示は購入の目安となると思われます。 ☆ 価格は? 1日分の価格は、栄養補助食品の類(No1〜15)で14円から140円でした。清涼飲料水やジュース類(No16〜22)は100円程度でした。 ※まとめると※ 一番のおすすめは野菜や果物そのものを食べること! 野菜や果物の中には、ビタミンCや食物繊維など、今回テストしたカロテノイド以外にも健康を保つために必要なさまざまな栄養素が含まれています。また、リコピンのように今まであまり注目されていなかった成分が人体に有用なことがわかることがあります。なすやブルーベリーの色素のアントシアンも最近話題になっていますね。ですから、十分な量の多種類の野菜や果物を食べることが一番大切なことです。
糖尿病などで、カロリー制限をしなければならない方には、マルチカロチンタイプ(多種類のカロテノイドを含んでいるもの)のソフトカプセルのものがいいと思われます。購入する場合は、何種類かの商品の表示を見て、含まれているカロテノイド類の種類や含有量、価格などをチェックしましょう。 野菜粉末製品はカロテノイドの補給源としては期待できません 野菜の粉末を主原料とした、粒状や粉末タイプの製品にはカロテノイド類はあまり含まれていませんでした。β-カロチンが多少含まれているものもありましたが、これは添加されたものでした。 「商品テスト情報」に戻る |