静岡県環境衛生科学研究所

No.114

商品テスト情報

−制汗剤−



制汗剤を使用していてかぶれた、顔にかかった、

あるいはしみて痛かったという経験はありませんか? 

どこに問題があるのか、何を注意したらいいかを調べ

るために、アンケート調査や使用テストをしてみました。


アンケート調査結果

静岡県消費生活モニター102人を対象としてアンケートを実施し、102人中82人から回答を得ましたが、そのうち80名は女性でした。

問1 制汗剤を使用しますか

50代以上の方では約4割の方、それ以下の年代では約6割の方が使用していました。(図1

2 使用状況、夏季の使用回数、どんな時に使用しますか

回答より、汗をかく季節に朝の身支度時か外出前に、日に1〜数回使用する人が多いことがわかりました。

問3 使用する制汗剤のタイプは(複数回答)

パウダースプレータイプを使用する人が多いことがわかりました。(図2

問4 スプレーするとき上着は脱ぎますか(パウダースプレーを使用する人のみ)
 パウダースプレータイプの商品には、「皮膚から10cm以上離してスプレー」といった注意書きがあります。上着を着たままではもっと近い距離でスプレーしているのではないかと気になりました。(図3

 

7 使用していて不都合はありましたか

 「赤くなりひりひりした」「吸い込んでむせた」「スプレーした時痛かった」等の経験が寄せられましたが、何れも症状は軽く、医師の診察は受けていませんでした。(図4

使用テスト結果

パウダースプレータイプ3、クリームタイプ、ミストタイプ、ロールオンタイプの各1の6製品について、29人のパネラー(男性11人、女性18人)にテストしてもらいました。(表1

表1 使用テスト結果

項目

タイプ

使用テスト結果

自由記載欄(感想等)

パウダースプレー1(男性用)

使いやすさ、使用後の感触という点で、高い評価でした。刺激は他のタイプより強く、特に男性用を女性が使用した場合は刺激が強すぎるという評価でした。

噴霧力が強すぎる(5人)、冷たくて気持ちがいい(1人)、顔にかかる(1人)

パウダースプレー2

粉っぽい(2人)、白く残る(1人)、顔にかかる(1人)

パウダースプレー3

カバーがあり押しづらい(2人)、顔にかかる(3人)

ミスト

刺激は少ないが使用後の感触はあまりよくないという評価でした。

液だれ、乾きが遅い等(7人)、においがいや(5人)

クリーム

刺激の少なさでは一番でしたが、使いやすさ、使用後の感触では低い評価でした。

手が汚れる(8人)、べたつく(3人)、毛があるとうまく塗れない(2人)、塗ったあとの感触が悪い(2人)、毛が引っ張られる(1人)

ロールオン

使用後の感触は低い評価でしたが、使いやすさその他は平均的な評価でした。

乾きが遅い(5人)、毛があると邪魔(2人)、接触面が不衛生(2人)


使用テスト結果から

使用テストのあと、今後どれを使いたいか聞いてみました。今までスプレーを使用していた人14人中3人は、他のタイプを選択しましたが、その他の方は今後とも同じタイプのものを選択しました。使用していなかった方9人中5人はロールオンタイプを選択しました。パウダースプレーを選んだ人は手軽で使いやすいからと、ロールオンを選んだ人は顔にかからない、蒸気を吸わないからといった理由を挙げていました。

むだ毛処理後の使用テスト結果―直後とは???―

制汗剤はタイプに関係なく、「むだ毛処理の直後は使用しないで」といった注意書きが書かれていました。むだ毛処理後使用して痛かったという方がいたため、むだ毛の処理後どれだけ時間をおいたら大丈夫かテストしました(表2)。

表2 むだ毛処理後の使用テスト結果

使用して、痛み等の違和感なく使用できた最短時間)

  パネラー

タイプ

50
女性

40
女性

50
女性

20
女性

20
男性

スプレー

2時間

1時間

2時間

1時間

2時間

クリーム

30

30

30

30

30

ミスト

2時間

1時間

30

1時間

2時間

ロールオン

2時間

2時間

30

1時間

30

パネラー全員が、すべてのタイプで違和感なく使用できたのは、むだ毛処理(かみそりまたは電気かみそり使用)後2時間たってからでした。2時間は直後とは言えないのではないでしょうか。メーカーには「直後」ではなく商品毎に安全に使用できる時間を調べ、「…時間」といった表示に改めるよう希望します。

表示指定成分について

医薬部外品の制汗剤には、使用した場合表示しなければならない成分があります。これは人によってはかぶれる恐れがある成分などです。調査した制汗剤に表示されていたのは下記の成分でした。

 収れん剤汗を抑える成分): パラフェノールスルフォン酸亜鉛

 殺菌剤汗に含まれる脂肪やたんぱく質を皮膚の常在菌が分解して嫌な臭いを発生するのを防ぐ成分): 塩化ベンザルコニウム、イソプロピルメチルフェノール、臭化セチルトリメチルアンモニウム、トリクロサン、塩化セチルピリジウム 

 酸化防止剤: ジブチルヒドロキシトルエン、酢酸トコフェロール

油剤: ミリスチン酸イソプロピル  保存料: パラベン   香料



制汗剤を使用するときは

・    説明書をまず読みましょう。

・    着替えの前に、使用することをすすめます。特にパウダースプレーを使用する場合は袖のある服は脱いで、10cm以上離してスプレーしてください。肩にタオルをかけてスプレーすると顔にかからず、ガスを吸い込むことも多少防げます。

・    むだ毛の処理をしたあとは、2時間以上使用しない方がいいでしょう。

・   かぶれなど異常があったら使用を中止し医師の診察を受けましょう。

  制汗剤にはいろいろなタイプの商品があります。刺激が少ないもの、容器が小型で携帯に便利なもの、上着を着ていても使用できるものもあります。手軽さだけでなく、安全性なども考慮して、数タイプの商品を使い分けることをお勧めします。

表示の調査から一言

・  ほとんどの製品では、指定表示成分として成分名のみ書かれていました。指定成分とは何か、何らかの説明があればと思われました。

・  使用されている収れん・制汗作用を有するクロルヒドロキシアルミニウムのような成分について、表示しているメーカーはあまりありませんでした。何のために何が使用されているのか知りたい消費者もいるのではないでしょうか。

・  正しい使い方についてはイラストなどで示されれば消費者にわかりやすいと思われました。



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