静岡県環境衛生科学研究所

No.116

商品テスト情報

−安価な家庭用品に含まれるアルデヒド類−


 

ホームセンターなどの売り場へ行ったとき、目がチカチカしたり、気分が悪くなったりした経験がありませんか?これは、ごく少ない量ですが製品などから有害な物質が出ている可能性があるからです。その有害物質の中の一つの「ホルムアルデヒド」は、接着剤や建材などに含まれ、「シックハウス症候群」の原因物質の一つにもなっています。このホルムアルデヒドが、直接身につける衣料品や身近な家庭用品に含まれていることがあります。そこで、最近人気を呼んでいる「100円ショップ」で売られている商品について、ホルムアルデヒドが含まれているかテストしました。

=== テストしたのは… ===

静岡市内の100円ショップで売られていた、以下の品目及び銘柄数です。

品 目

銘柄数

乳幼児用衣料品

木製食器類

うち なべふた

16

15

3


◆ ホルムアルデヒド(ホルマリン)には、次のような性質があります。
    ・水にとても溶けやすい。
  ・無色透明で、甘い中にもツンとした臭いがある。    
    ・空気中に発散しやすい。    
    ・主に粘膜(目、鼻、のどなど)を刺激するので、涙や鼻水、そしてせきが出る。ひどいときには頭が痛くなったり、味や臭いなどの感覚がにぶったりする。
  ・長い間触れていると、皮膚(ひふ)にひびが入ったり、潰瘍(かいよう)をおこしたりする。


● 商品中にアルデヒド類がどのくらい入っているのでしょうか?

<乳幼児用衣料品>

16銘柄中、ホルムアルデヒドが含まれていたのは4銘柄、そのうち1銘柄(トランクス)では、基準に近い含有量でした(図1)。今回検出したトランクス、ショーツ及びスモックには、一面にプリントが施されていました。このように、プリントが施された衣料品の中には、ホルムアルデヒドが含まれている可能性があります。


15銘柄中、6銘柄にホルムアルデヒドが含まれていました。おつまみ皿A及びBでは、20μg/ml前後のホルムアルデヒドが含まれていました(図2)。このおつまみ皿A及びBは、表面がコーティングされていて、つややかな光沢がありました。この光沢はおしぼり台やようじ入れにもありました。

なべふたは3銘柄テストしましたが、1銘柄(図2のなべふたA)からホルムアルデヒドが検出されました。検出されなかった2銘柄には接着剤が使われておらず、取っ手なども切り込み(ほぞ)にはめ込んで固定されていました。

※ 基準:『有害物質を含有する家庭用品に関する規制』(厚生労働省)では、「使用対象月齢が24ヵ月以 内のものを除く繊維品については、その商品1g中に含まれるホルムアルデヒド含有量を75μg以下にしなくてはならない」と定めています。

▼ 洗うことによって、ホルムアルデヒドをどのくらい減らすことができるでしょうか?

ホルムアルデヒドはとても水に溶けやすい性質を持っています。図3より、衣料品では1回の水洗いによりホルムアルデヒドを除去できました。製品中のホルムアルデヒドが気になる場合は、一度洗濯をしてから使用するとよいでしょう。

しかし木製品では、3回の水洗いでもホルムアルデヒドが完全に除去できませんでした。これは、木材そのものに染み込んだホルムアルデヒドが溶け出しにくいことが考えられます。特になべふたは調理中に使用するものなので、このような木製品を購入するときは注意が必要です。

テキスト ボックス: 図3 水洗いによるホルムアルデヒド残存率の変化
(衣料品:アセチルアセトン法、なべふた:HPLC法)




■□■ まとめると… □■□

1.安価な乳幼児用衣料品及び木製食器類には、ホルムアルデヒドが含まれているものがありました。

2.同じ種類の製品(例えば、今回テストしたなべふたなど)でも、ホルムアルデヒドが含まれていたり、いなかったりしました。

3.衣料品は、一度洗濯をすればホルムアルデヒドを除去することができます。しかし、木製品は3回洗っても除去できませんでした。

商品を購入するときは、このようなところに気をつけましょう。

1.衣料品では、プリントが施されたものなどにホルムアルデヒドが含まれている可能性があります。
気になるようでしたら、一度洗濯をしてから使用すると良いでしょう。



2.木製食器類では、接着剤を使用しているものや表面がコーティング(塗装)されているものの一部に、ホルムアルデヒドが含まれている可能性があります。



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