商品テスト情報−カテキンを増量した緑茶飲料−
=== テストしたのは… === 静岡市内で市販されていた容器入り緑茶飲料17銘柄です(表1)。カテキンが増量された旨の表示のあるもの(以下、増量タイプ)は11銘柄でした。 ◆ カテキンが増量された旨の表示 「カテキン○○mg」と具体的に表示(9銘柄)の他、「従来比○○%のカテキン(当社比)」、「濃カテキン配合」等とありました。 カテキン増量の方法としては、茶葉のみによるもの(5銘柄)と、茶葉の他に茶抽出物が添加されているもの(6銘柄)の2つがありました。 ◆ 保存方法(開栓前) 「直射日光や高温多湿を避ける」(6銘柄)、「直射日光を避ける」(4銘柄)、「高温・直射日光を避ける」(4銘柄)、「要冷蔵」(紙パック1銘柄)となっており、記載なしも2銘柄ありました。 ◆ 開栓後の取扱い 「すぐに飲む」(14銘柄)他、「できるだけ早めに飲む」、「冷蔵庫に保管し、早めに飲む」、「すみやかに飲む」(各1銘柄)とすべてに表示がありました。 ◆ 原料茶の産地 8銘柄に「国産」とのみ記載されていました。 平成16年9月のJAS法の加工食品品質表示基準改正により、茶葉には「原料原産地名」の表示が義務づけられましたが、緑茶飲料については表示義務が見送られ、任意となっています。 ◆ トクホの緑茶飲料 特定保健用食品(トクホ)とは、生活習慣病のリスクの低減・除去に役立つように工夫した食品で、厚生労働省の許可を必要とします。今回の調査では1銘柄ありました。
表3に総カテキン量に対する各カテキン類の含有割合を示しました。全銘柄に共通してピロガロール基を有するEGC、EGCg、GC、GCgの含有割合が高く、中でもGCの割合が最も高いものは12銘柄ありました。なお、カテキン増量のタイプとしては、緑茶抽出物等を添加したもの(添加群、 6銘柄)と茶葉のみで増量したもの(添加なし群、5銘柄)がありますが、今回の調査ではカテキン類の組成においてこれらの間に明確な違いがあるとはいえませんでした。 ● 開栓前の緑茶飲料は冷蔵庫に入れなくて大丈夫? 今回テストした緑茶飲料には、カテキン含有量が明記されたものが9銘柄ありますが、保管中にカテキン量は変化しないのでしょうか。また、開栓前の保管方法は「室温保存」と表示されていることが多いのですが、冷蔵庫で保管しなくてもよいのでしょうか。そこで、未開栓、賞味期限内のペットボトル及び缶入り緑茶飲料を冷蔵庫内、室温で遮光した場合(遮光室内)、室温で日光のあたる場合(日光室内)の3つの条件下で、3ヶ月間保管した後のカテキン含有量を調べてみました。 冷蔵庫内保管の含有量を1とした場合の比較(図1)では、日光室内保管でECg及びCgを除くカテキン類に若干減少する傾向がみられたものの、各カテキン類の含有量はほとんど変化がなく、かつ銘柄間のばらつきも小さいという結果でした。このことから、ペットボトル等の容器入り緑茶飲料の保管は常温で十分ですが、可能なら暗所に置くことが望ましいと考えられます。 ☆ その他の化学成分についても調べてみました。 ● 遊離アミノ酸 テアニンをはじめとする遊離アミノ酸の含有量を調べてみました(表4)。銘柄間の差が非常に大きく、特にアスパラギン酸、グルタミン酸、アルギニン、テアニンでその傾向が顕著でした。これは、アミノ酸や緑茶抽出物等の食品添加物が添加され、特定のアミノ酸が強化された銘柄が多いためであると考えられました。
■□■ まとめ □■□ 1 緑茶飲料のカテキン類の組成は、急須で入れる緑茶と異なり、主要カテキン類のエピ体(C、GC、GCg、Cg)が全体の半分以上を占めていました。またこの違いは、緑茶飲料の製造工程における加熱殺菌によるものと考えられます。 2 未開栓及び賞味期限内の緑茶飲料の保管は、表示にあるように常温で十分ですが、心配であれば暗所に置くのがよいでしょう。 3 アミノ酸や緑茶抽出物等の食品添加物が添加された緑茶飲料では、特定のアミノ酸が強化されており、アスパラギン酸、グルタミン酸、アルギニン、テアニンでその傾向が顕著でした。 4 緑茶飲料の多くは、ナトリウムの含有量が通常の水道水より多めでしたが、これは緑茶飲料にビタミンCを添加する際、炭酸水素ナトリウム等のpH調整剤も添加されている(表示不要)ためだと考えられました。 5 カテキン増量タイプの緑茶飲料は、通常の緑茶飲料よりカテキンの含有量がおおむね多くなっていますが、カフェインの含有量も多いものがあるので、服薬中の人や幼児、妊婦は飲みすぎに注意しましょう。
《メーカーへの要望》 カテキンを増量した旨の表示は法律上の強調表示にはあたりませんが、この旨を表示する場合には消費者に誤解を与えないためにも「カテキン○○mg」と含有量を具体的に記載することが望まれます(すでに表示してある銘柄も多くみられます)。 「商品テスト情報」に戻る |