平成24年度第1回倫理審査委員会報告

○ 目 的

環境衛生科学研究所の職員が実施する調査、研究、実験及び実習等が研究対象者の人権配慮、研究内容の説明と同意等、倫理的配慮の下で適切に行われることを目的として、倫理審査委員会による審査を実施しました。

 

○ 開催日    平成 24 年 7 月 26 日(木)

 

○ 倫理審査委員

委員長

木苗 直秀

静岡県立大学 学長

副委員長

島田 俊夫

静岡県立総合病院 臨床医学研究センター部長

委員

野々木 宏

静岡県立総合病院 院長代理

委員

出川 雅邦

静岡県立大学 教授

委員

三輪 憲永

東海大学短期大学部 教授

委員

鈴木 正広

一般財団法人 静岡県生活科学検査センター 常務理事

委員

松本 昭司

環境衛生科学研究所 所長

委員

橋本 守

環境衛生科学研究所 副所長

 

 

 

○ 審査対象研究課題

平成 24 年度研究課題のうち、検査材(人体から採取した血液等の試料)を用いる 3 研究課題について審査を実施しました。

 

○ 審査項目

1 研究内容の倫理的妥当性

2 研究における個人情報の保護・人権擁護

3 研究に当たってのインフォームドコンセント

 

○ 研究概要と審査結果

No.

研  究  概  要

審査結果

腎臓移植後患者におけるBKウイルス腎症に関する研究

BKウイルス(以下BKV)の伝播は経口感染で、欧米でもわが国でも10歳以上での抗体陽性率は70%以上と高いことが報告されている。初感染時にはほとんど症状はないが、体内に侵入したBKVは消失することなく、腎尿路系上皮細胞に静かに潜伏し、臓器移植のための免疫抑制療法などを受けなければ、そのまま病原性を発現することはない。腎臓移植後患者では、この潜伏ウイルスが免疫を抑制する薬剤の投与により増殖し、BKV腎症を惹き起こし移植腎機能障害の原因として注目されている。しかし、腎臓移植後患者のBKV腎症の発症とそのウイルスレベルの関連性についての報告は未だ少なく、その定量的検出法も確立されていない。本研究は、静岡県立総合病院との共同研究として腎臓移植後患者の尿中および血漿中のBKV DNAを検出し、BKV腎症におけるウイルスのデシジョンレベルを把握することにより、診断における有用性を検討する。                         >詳しくは

承認

静岡県における溶血性尿毒症症候群(HUS)の原因菌の解析と感染源となる食材調査

腸管出血性大腸菌(以下EHEC)感染症は、毎年3,000人を超える患者が発生し、重症化した場合、溶血性尿毒症症候群(以下HUS)等により死亡する重要な感染症である。EHEC感染症は本県でも毎年数十名発症し、そのうちの数例でHUSを併発する。HUSは主に小児のEHEC感染症に引き続き発症することが多く、中には原因菌の血清型が不明な症例が見受けられる。本研究では、県内のEHEC感染症の予防に資するため、原因菌の解析を行いHUSの発生状況等の現状を把握するとともに、感染源となる食材についてEHECの汚染状況を調査し感染予防に役立てる。>詳しくは

承認

ノロウイルス不活化剤の探索とその実用化に関する研究

近年、ノロウイルスによる食中毒・感染症が多発し、県民の健康に大きな被害をもたらしており、ノロウイルス対策は公衆衛生上重要な課題のひとつとなっている。ノロウイルス感染症の予防および発生後の拡大防止のためには、汚染環境等に存在するウイルスを不活化させることが重要であり、適用範囲が広く簡易に使用できる有効な消毒剤等の開発が強く求められている。本研究は、不活化剤のシーズとして当所で保管している静岡化合物ライブラリーを活用し、その中から抗ノロウイルス効果をもつものを探索する。ヒトノロウイルスを人工培養する技術は未だ発見されていないため、1次評価にはネコカリシウイルス等の代替ウイルスを使用した。2次評価ではヒトノロウイルス汚染物を用いた直接評価により、ノロウイルス不活化剤としての妥当性を検証できると考えられる。                                  >詳しくは

承認