静岡県環境衛生科学研究所

No.117

商品テスト情報

−ヘッドホン・イヤホン−


 

ヘッドホンやイヤホン(両方ヘッドホンと表記)をつけていて、周囲の音が聞きとれずに危険な目にあったり、列車内などの公共交通機関でヘッドホンから漏れる「シャカシャカ」音が気になったことはありませんか?最近では音もれ対策のできるCDプレーヤーやヘッドホンなどが発売されていますが、果たしてその効果は?そして、ヘッドホンを使う時に気をつけなくてはいけないこととは何でしょう?


# まず、アンケート調査をしました。

平成156月から9月に、静岡市内の公立高校生152名と静岡県職員1,663名の、合計1,816名を対象としたアンケート調査をいました(以下はその一部です)。

1.高校生の7割、県職員の半数近くがヘッドホンを使用していました。

2.使用している人の半数近くが自宅や公共交通機関で、また高校生の4割以上が自転車または徒歩での移動時に使用していました(図1)。

3.全体の4割の人が、周囲の音が十分に聞こえるくらいの音の大きさで使用していましたが、逆に高校生の2割以上の人が、周囲の音が全く聞こえないくらいの大きな音量で使用していました。その理由として「周囲の音が聞こえると音楽が満足に楽しめない」といった意見もありました。

4.ヘッドホンを使用していて、半数の方が不都合を感じていました。内容は、「コードが何かに引っかかったりして使いにくい」、「周囲の音が聞き取りにくい」などでした(図2)。
1.高校生の7割、県職員の半数近くがヘッドホンを使用していました。

5.全体の7割の人が、音もれしないように気をつけていて、そのほとんどは音量を上げすぎないようにしていました。

6.全体の8割以上の人が、他の人が使用しているヘッドホンからの音もれが「気になる」と答えましたが、そのほとんどの人が、使用している人に対して「注意していない」と答えました。その理由の多くは、「注意することで逆に不満を示され、自分に危害が及ぶのが恐い」といったものでした。

アンケート調査では、そのほか要望として「なるべく音もれのないヘッドホンを作って欲しい」といった意見もありました。はじめにも書いたとおり、最近売られているCDプレーヤーやヘッドホンでは、音もれしないようにいろいろと対策されていますが、果たしてその効果はどうなのでしょうか?


♭ そこで、ヘッドホンの性能についてテストをしました。


使用したヘッドホンは…

1.耳を完全に包み隠すようにしてあてがう完全密閉式ヘッドホン 1銘柄

(購入価格:2,800円)

2.耳を包まず密着させるだけの不完全密閉式ヘッドホン 3銘柄

(購入価格:1,980円、1,880円、100

3.耳に引っ掛けるようにしてあてがう耳掛け式ヘッドホン 4銘柄

(購入価格:2,380円、1,780円、680円、100円)

4.耳に挟み込むようにして装着する装着式イヤホン 5銘柄(CDプレーヤーの同梱品を含む)
(購入価格:2,480円、1,580円、880円、100円)

5.耳の奥に差し込んで装着する挿入式イヤホン 2銘柄

(購入価格:360円、100円)





 ヘッドホンからどのような音が出るかテストしました。


テキスト ボックス: 図3 最大音量、距離30cmにおける
音圧レベル
テキスト ボックス: 図4 音量制限機能を使用したときの
距離30cmにおける音圧レベル

ヘッドホンから出る音について、30cm離れたところでの音の大きさを測りました。低い音と高い音が同じ程度の大きさのサンプル音源を流すと、図3のように、CDプレーヤーの音量を最大にしたとき、低い音はあまり出ず、高い音が特にたくさん出ていました。そこで、CDプレーヤーについていた音量制限機能(音もれを防ぐため一定以上に大きくならないように音量を抑える機能)を使って、音量を下げて測ってみたら、図4のように高い音もあまり出ないことがわかりました。

♭ 音質や外部の音の聞こえ方などを調べるため、実際に使ってもらいました。

6人のモニターのうち4人が、CDプレーヤーの音量制限機能で設定できる最大音量よりもかなり大きな音量で音楽を聴いていました。そのためか、片耳(モノラル)タイプのもの以外の銘柄では、型式に関係なく「周囲の音(声やチャイムなど)があまり聞き取れない」といった回答が多くありました。

また、主に不完全密閉式ヘッドホンと耳掛式ヘッドホンで、「耳にうまくあてがえず、使い勝手が悪い」といった意見がありました。耳にしっかり装着できないと、そのすき間から音が漏れやすくなります。最近はヘッドホンの試着ができる販売店もあるので、そこで自分の耳に合ったヘッドホンを選んでみるのもよいでしょう。

♪♪♪ 試験の結果から… ♪♪♪

「音楽を満足に楽しみたい」などの理由で、「必要以上に音を大きくして聴いている」ことにより、音もれを生んでしまっているものと考えられます。そればかりでなく、難聴になり、更に音量が大きくなるといった悪循環に陥る恐れがありますし、また、大音量により周囲の状況がつかめず、思わぬところで危険な目に遭うことも考えられます。


‡‡‡ ヘッドホンを買うなら& 使うなら ‡‡‡

1.【買うなら】音質で選ぶこともあると思いますが、なるべく耳にしっかりと装着しやすいヘッドホンを選びましょう。ヘッドホンの持つ性能を損なわず、音もれを抑えることもできます。

2.【使うなら】音楽プレーヤーなどについている音量制限機能をなるべく利用し、周囲の音も十分に聞こえるよう、必要以上に音量を上げないようにしましょう。

  特に、交通機関を利用しているときには、周囲の人に迷惑をかけないよう、十分に考えて使用してください。

3.【使うなら】自転車を運転しているときや道路を歩いているときは、使用しないか、止むを得ず使用する場合でも周囲の音が十分聞こえる範囲内で使用しましょう。思わぬ交通事故に巻き込まれる恐れがあり、非常に危険です。





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