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園芸店やホームセンター等では袋から出してすぐに使える培養土(肥料用語では「園芸用育苗培土」といいます。)が多く販売されています。このような土は、花専用など用途が決められたもの、肥料や根腐れ防止剤が加えられたもの、酸度が調整されたもの等、実にさまざまな種類がありますが、どの土を選んだらよいのか迷ってしまう場合も少なくないと思います。そこで、これら園芸用育苗培土の物理特性及び化学特性等をテストしてみました。 === テストしたのは…== 静岡市内で市販されている、園芸用育苗培土15銘柄で、用途別及び単位価格別に分類すると表1のようになっていました。 また、袋の中の土の容量は、商品に表示された「充填時容量」より多かったものが11銘柄、少なかったものが4銘柄(最大誤差-8.5%)でした。 |
表1 調査対象
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植物の生育に |
りん酸 | |
窒素 |
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マグネシウム(苦土) 葉緑素をつくる | ||
注) 本文中では、「植物が利用できる」という意味で「窒素、りん酸、石灰、苦土、カリ」を、「無機態窒素、可給態りん酸、交換性石灰、交換性苦土、交換性カリ」と呼んでいます。 | ||
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カルシウム (石灰) 酸性の土を中和する | |
カリウム(カリ) | ||
● 土の化学特性等を調べてみました。
表2に結果を示しました。pHはいずれの銘柄も微酸性〜中性の範囲内でした。また、EC(電気伝導度)が最も低いのは種まき用の土でした。水分量は1銘柄を除き32〜53重量%で、他の1銘柄は25重量%と非常に低く、軽い土でした。5要素(無機態窒素、可給態りん酸、交換性石灰・苦土・カリ)の含量については表2に示すとおりです。なお、標準偏差とは、銘柄間のばらつきのことです。 ◆ pH 土の酸性、アルカリ性の度合いを示し、pH7が中性でそれより数値が小さくなるほど酸性が強く、大きくなるほどアルカリ性が強くなります。 ◆ EC(電気伝導度) お店に並んでいる園芸用の土は、植物の生育に適した土かどうか、見ただけではなかなかわからないものです。そこで、肥料等の登録の際に法律で義務付けられている試験法に基づいて、テストの土で実際に植物(コマツナ)を育ててみました。 |
表2 化学特性及び物理特性
表3 コマツナの発芽性及び生育性
表4 コマツナ生育試験における異常症状の有無と無機態窒素含量(mg/100g)
表5 アサガオの生育性
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表6 発芽性・生育性の分類
注)○ 良好、× 悪い |
さらに、葉の生育遅延など異常症状のあった土(7銘柄)とそうでない土(8銘柄)に分けて無機態窒素含量を比較したのが表4ですが、異常症状のあったものは無機態窒素含量が低い傾向にありました。 ● アサガオを育ててみました。 テストの土を用いてアサガオを栽培し、種まき後67日間の開花数と花径(cm)、及び67日目のつるの長さ(cm)、葉長(cm)、葉数を調べました。表5からわかるように、土により生育の違いが大きくあらわれました。なお、花が全く咲かなかった土も2銘柄あり、開花数とつるの長さ及び葉数には高い相関がありました。 |
●コマツナとアサガオの結果から・・・ 上記のコマツナの発芽性・生育性とアサガオの生育性の結果をまとめてみました(表6)。ここで○×は、表3及び表5の平均値より良いか悪いかで判定し、複数の項目の評価がそれぞれ異なり判定できない場合は「評価困難」としました。 |
表7 発芽性・生育性の結果で比較した5要素含量(値は平均値±標準偏差(最小値〜最大値))
注)表6において○が2個以上の銘柄を「良い」、×が2個以上の銘柄を「悪い」、それ以外を「評価困難」としました。 |
■□■ まとめ □■□
1 今回テストしたすべての土は微酸性〜中性なので、一般植物の用途であればpHの調整は不要と考えられました。
2 今回のテストでは、単位価格が20円/L以下と廉価な土は、植物の発芽及び生育がよくありませんでした。あまり安い土は避けた方が無難です。
3 今回テストした「種まき用の土」は、発芽性は良いが生育性が悪く、また肥料分も少ないという特徴がありました。用途が限定されている土は、その土の特性をよく理解した上で購入しましょう。
《園芸用の土を購入するときのポイント》
1 購入する土が「pH調整済み」の表示があるかを確認しましょう。表示のない土はpHを調整する(石灰資材を加える等)必要のある場合があります。
2 適用植物または用途が明記されている土を選びましょう。
3 肥料が加えられているかどうか、確認しましょう。
4 袋の透明部分からみて、土が団粒構造(土の微塵が集まって小さな団子のようになったものの集まり)を成しているかを確認しましょう。あまり微塵の多い土は通気性や水はけ等が悪いおそれがあります。
5 袋に「@適用植物名または用途、A充填時の容量、B主な配合原料名、C肥料の配合の有無、D製造業者または販売会社名、住所、電話番号」の表示がある土は、家庭園芸肥料・用土協議会に登録されているメーカーが製造した土です。
袋の裏の表示を よく確認 しましょう! |