創薬探索研究について
我々の研究グループは、ファルマバレーセンターからの委託を受け、創薬探索研究を実施しています。約12万種の化合物ライブラリーを管理・運用しており、スクリーニング化合物提供をしています。また、ヒット化合物の類縁体の合成を行い、生物活性増強や構造活性相関の解明を行っています。複数の研究機関と共同研究を進めており、静岡発の創薬を目標として、研究活動を続けています。
CF研究:がん細胞のDNA修復を抑える抗がん剤をつくりたい!
数ある創薬シーズのひとつとして、産業医科大との共同研究で細胞内の破損したDNAを修復する酵素であるRad52を標的とした抗がん剤研究を実施しています。
現在、共同研究として5年目を迎えております。これまでに、化合物スクリーニングを実施して、3種類のヒット化合物を発見しています。
阻害活性増強と構造活性相関解明のための類縁体合成に必要な研究資金をクラウドファンディングにて募集しました。2022年6月29日~8月18日までの募集期間で、目標額を達成し、9月から、プロジェクト研究を開始しております。
Rad52とDNA修復
抗がん剤としてのターゲット分子は、がん細胞のDNAを修復する分子であるRad52です。通常、がん細胞のDNAは、なんらかの処置により、DNA損傷をうけて死滅していきます。Rad52は、その損傷を元通りに直すことができます。その結果、がん細胞は生きながらえて再び増えていきます。特にRad52は、一部の乳がん・子宮がんなどにおいて、優先的にはたらいているとされています。このRad52のはたらきを選択的に抑えることが可能な化合物をつくり出すことができれば、新しいタイプの抗がん剤の開発につながると考えています。
類縁体の合成
Rad52の3次元構造が報告されており、コンピュータードッキングシミュレーションを併用しながら、
活性部位のポケットにはまり込む化合物を合成しようとしています。キッチリとはまる化合物は、Rad52の阻害活性が高くなり、がん細胞のDNA修復をより阻害することができます。